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清塚信也氏 インタビュー
日時:2007年7月20日(金)
場所:長野県県民文化会館中ホール
2007年7月20日(金)、ドラマ「のだめカンタービレ」や映画「神童」などで活躍するピアニスト清塚信也さんのコンサートがヒオキ楽器の主催で開かれました。お忙しいスケジュールの中にもかかわらず、清塚さんがインタビューにこたえてくださいました。
早速ですが、先日はゲーム「メタルギアソリッド」20周年記念アルバムの発売、おめでとうございます。清塚さん: ありがとうございます(笑)。 残念ながらまだ聴いていないんですが、自分もゲーム好きなんですよ。メタルギア、やりました? はい。シナリオが凝っていて、すごいですよね。革命ですよね! ただ発売から20年も経っているとは思わなかったですよ。そうなんですよ。僕も知らなくて、僕はプレステの時からしか知らなかったんですけど、実はゲームボ
ーイとかそれ以前からあったらしくって(笑)。クラシックのピアニストをなさっていて、ゲームというジャンルの音楽に参加されるというのは珍しいんじゃないでしょうか。でもね、メタルギアに関しては、ゲームの中でも硬派で、物語も結構シュールじゃないですか。あんまりアニメアニメしてなくて、割とこう人間の深いところまで描いてて、子供には分からないだろ(笑)っていうところまで言うじゃないですか。音楽もそれなりに凝っていて、ジャズとか、クラシックまではいかないんだけど、ポップな感じだけじゃないんですよね。結構映画仕立てだから、映画音楽に似たところがあって、そういう意味ではやりやすかったです。元々僕はあのゲーム、大好きですので。 ホントにいいゲームですよね全作品もっていて、しかも何回もクリアしてるという(笑)。 またセリフがいいんですよね。要所要所で。一言一言がうまいんですよ。 今回、ご縁あって長野へご来訪いただきましてありがとうございます。清塚さん: 僕、一番来たい所だったんですよ、長野って。
ホントですか!これもね、ゲームつながりなんですけど、「かまいたちの夜」っていうゲーム、あるじゃないですか。
あります。あります。あれでね、白馬村のクヌルプ(撮影現場となったペンション名)が出たじゃないですか。あれ以来、長野って、なんかいろいろすごい楽しそうな場所があるんだなあって、思ったんですよ。 なるほど(笑)で、さっき、行ってきました。白馬まで。 白馬までっ!?ええ。車で。 東京からお車でいらっしゃったんですかっ!?煤i ̄ロ ̄;途中、406号でしたっけ、あの細い道で、すっごい楽しかった(笑)。で、クヌルプに入って、『写真とってもいいですか』って言ったら、すごい快くオッケーしてくれて。それを今携帯で見ていたところです。 さて音楽のお話なんですが、楽器って、とてもたくさんありますよね。その中で、何でピアノを選ばれたのでしょうか。清塚さん: 姉が二つ上におりまして、ずっとヴァイオリンやってるんです。僕が小さい頃から、一歳とか一歳半とかからやってるんですけど・・・兄弟って真似したがるけど、違うことをしたいみたいなところ、あるじゃないですか。で、家にボロボロのアップライトピアノがありまして、きっとヴァイオリンでかぶりたくなかったんでしょうね。真似はしたいんだけどかぶりたくないという(笑)。 今日のチラシを拝見したところ、幼少の頃より英才教育を受けられたと書かれています。どんな感じの少年時代を過ごされたんでしょうか。少年時代は・・・特殊ですねえ、僕は。姉がそういった英才教育を、受けてまして。桐朋の子供のための音楽教室なんですけど、その仙川の本校に通っていて、僕はまだその時、小さすぎて留守番ができない歳だったから、連れていかれてたんですよね。何となく授業のうしろで、聞いてたりしたんです。僕その頃は全然ピアノを弾いてないんですけど、ピアノを全然弾けない時から、授業を聴いてたおかげか知らないんですが、絶対音感がついちゃって。あるときソルフェージュの授業についてったら、何でこんなこともできないのかなあって感じで、うしろで一人で解いちゃったんですよ。教室の生徒さんよりも早く(笑)。 音の名前とか・・・ソルフェージュを?煤i ̄ロ ̄;そうです。聴音を。で、そこのクラスの先生がビックリしちゃって、『ボク、楽器は何かやってるの?』っていうから、いえ別にやってませんということで、『どういうことっ!?』みたいな(笑)。それから姉への英才教育が僕に向くようになって(笑)。それからは、ウチの母親はハンパなく教育ママだったので、『学校なんか行かなくていいから、ピアノと音楽だけ勉強しなさい』みたいな感じで音楽漬けにされて。
うわー!お母さん、カッコいいですねえ(笑)なかなかいないですよね(笑)。 じゃあ本当に学校よりはピアノという・・・学校はもう全然通ってなかったです。半分ちょっとくらいしか。だからもう卒業できないって先生や校長先生から言われてて(笑)。そんなんだったんですけど、あるとき小学校6年生くらいのときに毎コンってあるじゃないですか。あれで3位になったんですよ。そうすると毎日新聞が学校に取材に来るじゃないですか。そしたら全然態度が変わって、『我が校の自慢の生徒です』みたいな(爆笑)。それでもう子供ながら、『大人って・・・( ̄ロ ̄;』って感じで(笑)。でもまあ無事に卒業させてもらえたんですけど、まあそんなことを繰り返し、中学生の頃は一日12時間くらいピアノに触ってました。 一日の半分じゃないですか!(@@;ええ、学校に行かずに(笑)。 指とか痛くなったりとかしなかったんですか?やっぱり痛めましたよ。よく言われるんですけど手が華奢なので、中学校2年生くらいまで1オクターヴ届かなかったですからね。 それなのに小学生で毎コンで3位・・・オクターヴとかぐちゃぐちゃにして弾いてたんですけど、何故か入っちゃった(笑)。 努力と才能と、本当にすごい少年時代ですね。さらに野球選手も同時に目指していて。
えっ?ピアノと野球ですよね?中学2年生の時まで本気で迷ってたんですよ。 なんか全然違う方向だと思うんですけど(@@;;野球も誰よりもうまかったんです。 ちなみにどこを守っていたんですか?ピッチャーでした。 で、まさか、かなり打てて?5番でしたね。 おおお!では、相当モテましたねっ!いや、それが全然。とにかく学校行ってないから、『あの人誰?』っていう(笑)。 (笑)じゃあ、学校は出なくても、部活だけは出て?そうなんです。でも中2の時に、毎コンで、今度は1位とっちゃったんですよ。それでまあ、野球選手じゃなくて、こっちかなっていう。 なんといっても1位ですからね!でも中1の時に、毎コンで予選落ちしたんです。はじめてコンクールで落ちて。それまでは試験でも音楽教室でも一人だけ一番高い点数を取ってたりとか、なんか自分のこと天才だと思ってたんですけど、中1の時にはじめて挫折を味わって。その時に、真剣に、やっぱり野球で行くかと思ったんですよ。だけど負けたみたいで踏ん切りがつかないから、一年だけものすごい頑張ってみようと思って、12時間くらい練習したんですよ。そうしたら1位とっちゃって。
なるほどっ!・・・って、やっぱり天才だったんじゃないですか(笑)!でも12時間って長いですよね。苦しかったですか?いや、全然。『悔しかった』です。ウチの母の教えですからね、『負けてはいけない』という(笑)。
お母さんホントすごいですね〜韓国人なんですよ、ウチの母。だから大陸の血っていうんですか、やっぱ勢いがあるんですよね、大陸の人って。 何かバイタリティというかそういったものが違うように思います。サッカーもそうじゃないですか。技術は変わらないのに、なかなか日本は韓国に勝てない。
最後のところで違うんですよね。そうなんですよ。あ、僕、今もサッカーやってますよ。最近はフットサルが多いんですけどね。フォワードですから、僕。 ちょっと待ってくださいよ。天は二物を与えすぎじゃないですかっ(笑)!あはははは(笑)。 どこかチームに入ってたりするんですか?最近ちょっと忙しくて行ってないんですけど、オーケストラって結構チームがあるんですよ。N響とか読響とか・・・。 オーケストラの皆さんも、サッカーやるんですか。ええ。オーケストラは大体チームというのがあって、やりたい人はやるという感じなんですけど、そういうところでやったり、他に大学の強いところとかと、混ざってやったり。
すごい本格的ですね。運動神経すごいんですね。運動昔から大好きです。体力が底なしなんですよ。疲れないんですよね、全然。
さっきもリハーサル聞いてたんですが、すごいガンガン飛ばしてましたよね。全然。あんなの一日中でもできますよ(笑)。 オーケストラといえば、清塚さんは「のだめカンタービレ」の千秋真一役ピアノ吹き替えを担当されています。何かのだめにちなんだお話をお聞かせ願えないでしょうか。そうですね・・・例えば・・・玉木さんの弾き方っていうのは、僕が弾いているのを何方向からもカメラで撮って、VTRを渡して演技練習をしたので、僕そっくりなんですよ。ラフマニノフを弾いてるところとか、似てますよ。さすが役者さんですよね。前からの表情とか、上からの手のところとか、ナナメとか、いろんな方向から撮りました。あと例えばコンチェルトの時は、ピアニストって、指を見ないで弾けるところは、指揮者を見るんです。僕がスタジオで弾いているときも、ここに指揮者がいることを想定してやっているんで、ちゃんと指揮者を見て弾いてくれてるんです。弾き方もピアニストって癖があるじゃないですか。こんな風に(前かがみに)なっちゃう人もいれば、僕はこんな感じに(上体を後ろに反らして)フォルテを弾く人なんで、やっぱり玉木さんもこんな風にやってました。(笑)
ピアノを弾いてきて辛かったことや、良かったことなどお聞かせください。辛かったことというのは、人間忘れてしまうものですよね。辛かったこともあるんですけど、ピアノを続けている限りなくなりますね。人生って、辛いことのほうが良いことよりも多いでしょ。でもほとんどの人が、自分の人生どう?っていったときに、不幸ですとは答えないじゃないですか。だから生きている限り幸せなんですよ。だからピアノも続けている限りよいことがある。やめちゃうと嫌いになっちゃう。だから続けていくことというのが大事なんですよ。続けている限り、嫌なことというのはどんどん忘れていくからなくなるんです。もちろん良いことというのもたくさんありますよ。僕は留学経験があるけど、海外で言葉に困っても音楽さえあれば通じ合うし。 その中でも特に良かったと感じる点は?やっぱり親友とか家族とか、自分にとって大事な存在っているじゃないですか。そういう人が悲しかったり、苦しかったりするとき、どうしようもなく不幸な目にあっているときに、言葉で優しい言葉をかけたってたかが知れているじゃないですか。そんなときに、音楽だと、すごい心に染みるんですよね。そういう時に「心に響いた」とかいってもらえたり。僕の知り合いでも、自殺をしてしまった人もいるんですが、そのご両親が、息子さんの友達だったということでコンサートに来てくれたりしたときに、「ご愁傷様でした」とか、そういうありきたりの言葉をいうより、一曲、その人のために弾きますというほうが、すごく回復してくれると思うんです。本当に人を慰められたときに、幸せだなと感じます。 音楽ならではなんですよね、こういう力は。音って、言葉みたいに意味を限定しないから。その人その人の欲しい言葉のかたちに変わるんですよ。受け止めた側の。 そういった中で演奏活動を続けていらっしゃるんですが、ピアノを通して一番伝えたいことというのは何ですか?悲しい思いとか苦しい思いをしている人に寄り添ってあげられるような存在でいたいなというのが一番です。それと音楽だからできることっていうのがあると思うんですよ。それが何なのかまだはっきりしていないけど、それを模索していきつつ、ピアニストにしかできないことというのを探していきたいなと思います。
3月にはアルバム「Qualia」を出されました。ご自身で作曲された曲も入っていますが、繊細で暖かい曲ですね。ああいう曲というのは、自然に出てくるものなんですか?そうです。それこそさっきの白馬に行く途中の道だとか、僕は東京育ちだから、あまりああいうのってみたことないんですよ。そういうことって刺激が大きいじゃないですか。そういう刺激を受けたときにピンときますよね。
自然などから・・・そうです。で、僕は楽譜を書かないで、アタマのなかだけで作曲しちゃうから、そういうときに出てくるんです。 じゃあ即興までいかなくても・・・ほとんど即興に近いですね。即興得意なんですよ。さっきリハで弾いていたのも、バッハとかクラシック以外のものは全部即興ですから。ジャズめいたものとか、ポップスっぽいものとか。まあこんなものかなあと思って弾いてたんですけど。
後で誰の何ていう曲なのか、お聞きしたいと思ってたのですが。あの時弾いてただけの曲で、もう覚えてないです。 もったいないですよ〜!!(;ヘ;あはははは(笑)。 今日もヤマハを弾かれますが、ヤマハのピアノはどんな印象ですか?清塚さん: 僕は世界で一番良いピアノだと思っています。間違いないと思います。いろいろなコンク−ルで、スタインウェイやベーゼンドルファーといったトップの企業が、しかも厳選して出してくるピアノを弾いてきた、僕なりの感想ですけど、やっぱりヤマハが一番好きだし。
僕、バイクにも乗るんですが、バイクもヤマハです。バイク好きって、ハーレー好きな人が多いでしょ?でも僕はハーレーだとだめなんです。ピアノもスタインウェイだめなんです、あんまり。確かに薫りのある良い音はすると思うんですが、不規則というか気分屋なんです。日によっても時間によってもすごい差がありますし。
こう見えても僕は結構神経質なんですよね。だからヤマハのピアノは僕と気質が合ってるんです。ヤマハのピアノはすごく細部にこだわったところがあるし、アクションとか中身・技術に関して、すごくちゃんとしているピアノだから、安心感がある。最近は音もスタインウェイやベーゼンに負けず、すごくキレイな高級感のある音になりました。新しいCシリーズなんかも本当に高級感のある良い音です。
最後に、私たちの音楽教室で頑張る生徒たちにメッセージをいただけないでしょうか。清塚さん: 子供が大っ好きなんですよ。子供を見ると顔がにやけちゃうっていうくらいなんですけど。子供って未来の塊じゃないですか。未来そのものがそこに生きているわけだから、これからの日本を担ってくれる人たちが。だからこそいえると思うんだけど、確かにピアノとかの世界って、オンリーワンだけじゃだめだし、ナンバーワンでなくてはダメな世界もあるんですよ。時にオンリーワンでいればいいっていう考えは時折甘いといわれてしまうような、シビアで現実的な世界ではあるんですけど、さっきいったように音楽を好きでいること。好きでいることの努力が一番大事です。ピアノうまくなるより前に、音楽をずっと好きでいられることに努力をまずして欲しいなと思います。嫌いになるような努力は、ピアノをうまくなるための努力であっても僕はしなくていいと思います。自分の好きでいられる努力をして欲しいなと思います。そして続けている限り、ピアノっていうのは、音楽っていうのは、必ずずっと自分のそばにいてくれるから。
お忙しいスケジュールの中、快くインタビューを受けてくださった清塚さん、本当にありがとうございました。
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