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<ヒオキ楽器東信事業部開設記念コンサート>
須川展也氏 インタビュー


日時:2008年3月16日(日)
場所:佐久勤労者福祉センター(長野県佐久市)


 2008年3月16日(日)、世界的に活躍されるサクソフォン奏者の須川展也さんのリサイタルが、ヒオキ楽器の主催で開かれました。当日のお忙しいスケジュールの中、須川さんがインタビューにこたえてくださいました。


長野の印象
 
        早速ですが、須川さんといえば、お車がお好きと・・・。
須川さん: いきなりそこから来ますか!(笑)
 
        失礼しました(笑)。お車のことはいろんなところで聞いたり読んだりしていまして、やっぱりお好きなんですか。
そうですね、車の中の自分だけの空間の中で、音楽聴いたり、景色を見たりとか、のんびり構えていると、新たなアイディアが浮かぶことが多いし。それに何か、自分の現実とは違う世界に行ったときに、頭の中のリラクゼーションができるとか。
 
        新たなアイディアというと?
例えば、急に(ピアソラの)リベルタンゴをテナーサックスで吹いちゃおうとか(笑)。そういう今まで結構当たり前にやってきていることをちょっと変えてみようかと思ったり。後は、なんかこう、楽器と一緒で、うまくコントロールできた時の喜びってあるような気がするんですね。運転下手なんですけど(笑)。
 
       またまたご謙遜を。
でもマニュアルを乗ってるんですけど、マニュアル車のマニュアルをどうキレイにつなぐかとか、そこが常に考えてることで、別にどうキレイに車庫入れするかとかそういうことはあんまり興味がなくて(笑)。どうクルマをキレイに走らせるかしか考えてないという(笑)。それも極端なんですけど。
 
        例えばワインディング(曲がりくねった道)を攻めて行くのと、高速道路をガーっと行くのと、どっちがお好きなんでしょうか。
ワインディングは当然、大好きです。高速で飛ばすっていうのは自分ではなくクルマが飛ばすんであって、そういうことよりいかにスムーズにギアチェンジをマニュアルでするかということのほうが楽しいですし。
  
        すごいですね!マニアックですね〜。
そうなんです(笑)。
 
       今日もお車で?
はい。今日もクルマで来ました。
 
       長野の道はいかがですか?
好きですよ〜、もう。この辺って結構仕事があって、「奥志賀」ってあるじゃないですか。あそこの森の音楽堂に8月も来るんですが、あの辺りなんて、楽しいですよ〜。あのエメラルド色の湖とか、いいですよ。気持ちよく走れて。長野は大好きです。
 
 
   さて須川さんは、いうまでもなく大変なご活躍をされていますが、クラシックはもちろんのこと、ジャンルにとらわれないといいますか、幅広い分野で活動をされていますね。
須川さん: 基本的には、ジャズも、伝えられる音楽であればクラシックになっていくと思うんですよ、将来は。後世に残っていく素晴らしい音楽を吹いていくというのはクラシック的な発想なんですが、そういういろいろなスタイルを自分の音楽に取り入れて、「サキソフォンのクラシック」として伝えていけたら・・・その一翼を担えたらいいなあと思います。
 
   やっぱり意識的にいろいろなジャンルを?
そうですね。これはサックスでいけるな!と思ったら、もうどんどん取り入れていきますね。特に今回のプログラムは、オーケストラの名曲とかにすごい新たな発見を見出しまして。何しろですね、「牧神の午後への前奏曲」というのが、一番演奏したかったんですけど、これね、もうキャッチコピーとかにも使いたいんですけど、このEXのソプラノ(ヤマハEXシリーズのソプラノサックス)という楽器を吹いたイメージ・インスピレーションというのから、この「牧神の午後への前奏曲」を吹きたくなったんです。「この楽器でしか出ない!」という、この気合たるやスゴイものなんです。
 
   不思議な感じで始まる曲ですよね。最初の数小節、何調なのかさっぱり分からないという(笑)。
そうそう、それが、「この楽器でしか出ないんじゃないか」と思うほど、美しいんですよね。
 
   さて先ほどからプログラムの話題となっていますが、今日のプログラムというのは、モダンからコンテンポラリーというか、19世紀の終わりくらいから、20世紀にかけてという構成ですが。
これは今日のプログラムノートにも、(10行にわたる)僕の大論文が書いてあるんですけど(笑)、ガーシュインとピアソラ・・・パリに憧れたけどちょっと挫折したというか・・・でも世界を代表する作曲家になりました。その彼らの音楽の素晴らしさもあるし、もう一方でフランス音楽の代表といえるラヴェル・ドビュッシーの曲もスゴイ。「どっちもすごいんだよ」というのを思いながら考えました。ガーシュインやピアソラというのは、パリでは認められなかったけど、結局はいいものだから世界には残っていく。サキソフォンという楽器も、クラシックの中では何となく影の部分だけど、いい演奏をしていけば残っていくという思いが裏にこめられているというプログラミングなんですね。
   
   なるほど!
プログラムっていうのは、自分のこだわりがないと決められなくて。今回も例えば「フランス音楽の夕べ」とかって、ただフランス音楽だけ並べるというものではなく、内面のコンセプトで行ってますね。
 
   深いですね〜(><;
このプログラムを考え付くには、何年もかかったという。はじめて聴く人も楽しいし、サックスやってる人も「くそう、やられた〜!」みたいな(笑)。その両方を同時にできるかを考え抜いた、僕にとってのここ何年かのベストプログラムなんですよね。
   本当に楽しいプログラムです。
でも凄いシビアなんです。特にピアニストへの負担がすごいんですよね。色をしっかり出してくれるソリストの方じゃないとできないんじゃないかっていう。
   本日共演の宮谷理香さんは、まさに!
はい。彼女は迫力もあるし、繊細でもあるし。
 
 
   今日は私たちの音楽教室や、この地域の学生さんもたくさんいらっしゃいます。須川さんの少年時代というのはどんな感じだったのでしょうか?
小学校が新設校だったので、何でも自由にできる環境でしたね。スポーツもやり、音楽もできた。あと子供の頃は、鉄道ファンでしたね。親と一緒に蒸気機関車を見に行ったり、写真撮りにいったり、乗ったり。自分でノートに架空の国を作って、そこに鉄道地図を書いたり、そんな少年でしたね。
 
   じゃあ、今も電車を見ると大体は分かるんでしょうか。
大体は・・・昔ほどではないんですが・・・今はクルマのほうにいっちゃいましたから(笑)。でもほとんど新700系とか日本中のを乗ってますね。旅が多いですからね。
 
   同じく学生さんからの質問なのですが、日々の練習で心がけていることを教えていただけないでしょうか。
やっぱり丁寧に練習するということです。あせらないで、ゆっくり丁寧に確認しながら行くということ。あとは自分のレベルというのは、そう毎日いきなり変わりはしないんですけど、自分が日々少しずつステップアップしているということを信じて丁寧に続けるということですね。あとはやっぱり喜びを見出しましょう。練習するだけじゃなくて、楽器を演奏していることが楽しいと思えるように。僕もいまだに楽器吹くの楽しいですから。
  
 
   これまで音楽家としてご活躍されてきた須川さんですが、今までで、これは印象に残っているというエピソードなどありましたら、お聞かせ願えますか?
一番しんどかったのは、ウィーンで始めてリサイタルをできるときに、インフルエンザにかかって39度以上の熱があって。前の日の夜中に無理を言ってお医者さんを呼んでもらって、注射を打ってもらって、何とか熱を下げてやりました。もうゲネ(ゲネプロ)もしないで、ほとんどぶっつけでやったんですが、気がついたら、アンコール2曲か3曲か吹いてたという。まあどこか記憶はあるんですけど、本当の意味の記憶がないという。
 
   その後は大丈夫だったんですかっ!?(@@;;
その後は元気になっていて、「宴会に行くぞ」って気持ちになってたんですけど(笑)、ふっと部屋に帰ったとたん、どっとまた熱が出てきて、ベッドで寝込んでましたね〜。自分が賭けているときには人間の身体は何とかしてくれるものなんだなあって思いましたね。
 
   近年はヤマハ吹奏楽団で指揮者としての活動もされています。
ヤマハ吹奏楽団というのはヤマハの楽器を作っている工員さんたちが多いんですけど、その人たちが作った楽器を、もっと愛してもらうために、自分も使っている人間として、彼らと共に音楽の素晴らしさを出して行きたいなと思います。ヤマハと共に僕も行こうと思います。指揮は下手ですけど、音楽を伝えることで、作っている人も、使う人も、プライドを持っていけるといいなと思います。それを伝えたいというのが、一番の最終的な決断理由ですね。
   今日もそのヤマハの、「EXシリーズ」というサクソフォンをお使いになられています。須川さんにとってのヤマハの楽器についてお聞かせください。
僕は、ヤマハの楽器とともに自分の音楽は育ってきたと思っています。この音で、こんな曲をやってみたいとか、こんな表情を出してみたいとか、楽器から自分に語りかけてくれます。それが特にこのEXという楽器の柔軟性なんです。別にヤマハを宣伝するわけではないのですが、本当に素晴らしい楽器ですね。本当に多くの人に、この楽器の素晴らしさを味わってもらいたいと思っています。
 
 
   最後にヒオキ楽器の生徒さん、またご愛顧いただいている皆様にメッセージをいただけないでしょうか。
ヒオキ楽器さんとは長いお付き合いなんですが、今回もこんな素晴らしいホールでのリサイタルを作ってくださってありがとうございます。教育文化を大切にされているということで、また私が演奏することで、皆さんに喜びを伝えられたらうれしいと思っています。

お忙しいスケジュールの中、快くインタビューを受けてくださった須川さん、本当にありがとうございました。



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